Japan Patients Association 

 [全体報告]
 記念行事は第11回総会の終了後、難病対策や難病法の成立にご尽力いただいた方、関係団体の方、これまでJPAを支えてきた前役員など、多くのご来賓をお迎えしての開催です。内容もJPA10周年にふさわしく、第一部、二部ともすばらしいものでした。
 森幸子代表理事の司会で開会されると、再発性多発性軟骨炎(RP)患者会の小田エリアさんと加藤志穂さんによるフルート・デュオのミニ・コンサートから始まりました。演奏をいただいたのは、「You raise me up」「Hope song」「Songbird~幸せを運ぶ鳥」の3曲です。

   -お二人の話から-
 You raise me upは「あなたがいるから私はがんばれる」という意味で、慢性疾患を発症すると治療だけでもたいへんなのに、学校はどうすればいいのか、仕事はどうすればいいのか、人間関係はどうすればいいのかと、想定しなかった困難が一気に襲ってきます。そういうときに、あなたがいたからがんばれたよというように、私もそばに寄り添ってくれる人がいたことで辛かったときを乗り越えられたような気がします。その中でいちばん大きな役割を果たしてくれたのが家族です。
 次の曲は、そんな私の大きなサポーターの一人である父が私たちの患者会のために作曲してくれた曲です。Hope songというタイトルです。 H.o.r.pのHorpは私たちの患者会の愛称です。H(Helpfu)、O(Organizatio)に病名(RP)を入れたHorpは、希望のHopeにつながりますようにという願いを込めています。病気の人はもちろん、そのまわりで彼らを支える人たち、病気ではなくても何か困難を抱えている人たちの背中をそっと押してあげるような曲になればいいなと思い演奏します。(小田エリアさん)
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 私たちの患者会は、2012年の設立でまだまだ若いです。JPAの皆さまをはじめ、これまで長年にわたり患者会活動をしてこられた先輩方に本当にたくさんのことを教えていただき、私たちは今日があると思っています。
最後の曲は「Songbird~幸せを運ぶ鳥」を演奏したいと思います。この曲は、とんびのような大きな鳥が上昇気流をつかまえて、ひとつの羽ばたきで高く舞い上がるイメージをもとにつくられました。患者さん一人ひとりが、それぞれの幸せを感じて生きられる社会になることを心より願いながらこの曲を演奏したいと思います。きょうはこのような機会をいただけましたことを心からお礼申し上げます。(加藤志穂さん)
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 ミニ・コンサートが終わったところでご来賓の紹介がありました。最初に、民主党衆議院議員阿部知子様、日本共産党衆議院議員高橋千鶴子様よりごあいさつをいただき、次に厚生労働省元疾病対策課課長難波吉雄様、同疾病対策課課長補佐藤村陽一様、同前疾病対策課課長山本尚子様のお名前が紹介されました。他にも、多くのご来賓にご出席いただきましたことに感謝申し上げます。
       
 第二部は「戦後70年―患者運動、障害者運動のあゆみとこれから」というテーマで、藤井克徳(日本障害者協会)代表と伊藤たてお(日本難病・疾病団体協議会)前代表理事によるパネル・ディスカッションが行われました。最初は藤井さん、次に伊藤さんがお話をされ、最後はお二人で対談していただきました。
 我が国の患者運動及び障害者運動は、共に戦後の混乱期から出発しましたが、結核療養所の中から始まった患者運動が草創期の障害者運動を引っ張ったという点は興味深いところです。お二人のお話に共通するポイントは、大きく分けると二つあったように思います。一つは歴史から学ぶことです。最初は難病と障害は一体的に運動を展開しますが、その後は障害者運動の大きな流れのなかで、難病や長期慢性疾患の患者組織も、大きく発展してきました。そうした両団体を代表するお二人に共通する思いは、戦後70年が経ち当時を知る関係者も少なくなっていくなかでいかに過去の歴史から学び次の世代に継承していくかということでした。
 もう一つは、障害や病気などの種別にとらわれない横断的運動の重要性です。施策的にも難病が障害者総合支援法の対象になるなど、難病と障害を隔てる垣根は一昔前と比較すると低くなってきたかもしれません。私たちとしても、病気や障害といった種別に関係なく、生きづらさをかかえている人たちやその団体が大きく共同して、我が国の社会保障政策を改革する力になりうるかということでした。どちらも、近未来の患者運動のあり方を想起する上で大切な提言だと思います。

 お二人の対談では、平和の重要性に話題が及びました。藤井さんは5月にドイツを訪問して、ナチスドイツがホロコーストの2年前に20万人もの障害者を虐殺したことを当時の関係者から聞き取りをしたと述べ、戦争で障害者、先天性の疾患をもつ人がどれだけひどい目にあってきたか。また、戦争そのものが大量の障害者を生み出すという話をされました。そして、戦争の反対は平和ではない。戦争の反対は無関心だと。
 その他、藤井さんは障害者運動や患者運動の羅針盤として、我が国が2014年に批准した「障害者権利条約」への期待などを語り、伊藤さんもこれからはJPAも権利条約についての勉強が必要だと応えました。
 藤井さんは「権利条約は障害者分野における世界の共通ルール、共通言語」と述べたことが印象的でしたが、これからの戦略として「ゼロ地点戦略」や「横並び戦略」を挙げるなど、たいへん示唆に富むお話をしていただきました。
                                                                 藤原 勝
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 JPA結成10周年・難病法成立1周年記念
 ミニ・コンサート&パネルディスカッション 
 開催日  2015年5月24日(日) 15:20~16:50
 会 場 ホテルグランドヒル市ヶ谷(東京都新宿区市谷)
 主 催  一般社団法人 日本難病・疾病団体協議会(JPA)
 参加者数 180名
 ご来賓
(お名前を紹介させていただいた方)
民主党衆議院議員 阿部知子様
日本共産党衆議院議員 高橋千鶴子様
厚生労働省元疾病対策課課長 難波吉雄様
厚生労働省疾病対策課課長補 佐藤村陽一様
厚生労働省前疾病対策課課長 山本尚子様
 内 容 <第1部> 患者によるミニ・コンサート
        フルート・デュオ 小田エリア&加藤志穂

<第1部> パネルディスカッション
       「戦後70年-患者運動、障害者運動のあゆみとこれから」
        藤井 克徳   日本障害者協会(JD)代表
                  日本障害者フォーラム(JDF)幹事会議長

        伊藤 たてお  日本難病・疾病団体協議会(JPA)前代表理事

                                        司会 森 幸子(JPA代表理事)
 祝賀会  

 写 真

(クリックで拡大します)

グランドヒル市ヶ谷

司会 森幸子代表理事

加藤志穂さん(左)、小田エリアさん(右)

阿部知子議員

高橋千鶴子議員

パネルディスカッション

藤井克徳さん

伊藤たておさん

  

  

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