Japan Patients Association 

総会の翌日は、難病、長期慢性疾患、小児慢性疾患の総合対策を求める院内集会及び国会請願行動でしたが、今年の報告をする前に少し歴史を振り返ってみたいと思います。
 1986年に結成したJPAの前身である日本患者・家族団体協議会(JPC)は、翌年2月17日、難病対策を求める国会請願を行いました。当時の署名数は約40万と記録されています。それから毎年国会請願が続けられ、3年後の1989年6月衆議院において初めて採択され、1995年に衆・参両院で採択されました。2002年には85万名の署名を集め、200名以上の国会議員を回るなど、積極的に取り組んできました。
 2005年にJPAとなってからも請願は難病運動の根幹をなす活動として引き継がれ、2010年には94万筆の署名を集めました。
 来年から施行される難病法はもとより、これまで難病対策が要綱に基づく予算事業ながらも40数年間続いてきたのは、こうした私たちの活動があってのことでしょう。

 そして、国会請願は多くの難病患者・家族を中心とする関係者に27年もの間受け継がれ、今年も5月26日(月)に実施することができました。

総会の余韻冷めやまぬ朝10時、衆議院第2議員会館多目的会議室は130名の患者・家族等で満員となりました。今年の署名数は78万4151筆です。難病法の成立直後ということもあり、9名の国会議員から激励のあいさつをいただき、議員の代わりとして27名の秘書さんがお見えになるなど活気のある集会でした。各議員のあいさつでは、党派を超えて難病法の成立後も引き続き課題への対応が必要という点で大筋一致していましたが、これは大事なことだと思います。
 最初に伊藤代表理事から、あいさつと請願事項の説明がありました。伊藤氏は、「不十分な点、これからの点などが、それぞれの病気や立場であると思うが、とりあえず世界で初めて難病に関する法律を私たちの手で実現することができたことを喜びたいと思うし、各国会議員の先生方のご尽力に心からお礼を申し上げたいと思う」と謝意を述べました。そして請願項目について、「この請願は昨年から準備をするので一年の時差があるが中身は古びていない。総合的難病対策の実現でも、年金、介護など新たな対策で十分に認知されていない部分がある」として、自信を持って取り組んでほしいと述べました。
 その後、グル―プごとに署名簿を持って200名以上の議員を回り、再び午後2時30分から報告を兼ねた集会を行い3時に終了しました。前日の総会と併せて二日間の長丁場でしたが、ご参加いただきました皆さま、本当にお疲れ様でした。また、署名や募金を集めていただきました全国の加盟団体の方々にも厚くお礼申し上げます。
 こうして難病法成立後の活動が始まりました。伊藤氏があいさつで述べたように、それぞれの立場によって難病法に関する評価も違うと思います。しかし、そうした立場や違いを乗り越え、加盟団体が協力して取り組めるかどうかは、今後、残された課題を克服するうえでとても大切なことです。みんなで力は合わせて一歩、一歩すすんでいきましょう。
 最後に請願の結果ですが、6月20日請願の処理が衆参厚生労働委員会で行われ、JPAの請願は昨年に続き今年も衆参の両院で採択されました。とても幸先の良いスタートが切れましたので、これを弾みにがんばりたいところです。   
                                                                (藤原 勝)

請願団体: 一般社団法人 日本難病疾病団体協議会(JPA) 
名 称: 「難病、長期慢性疾患、小児慢性疾患の総合的対策を求める」国会請願
日 時: 2014年5月26日(月)10:00~15:00
会 場: 衆議院第2議員会館 多目的会議室
日 程: 9:30~  通行証のお渡し (衆議院第2議員会館 ロビー)
10:00~11:00 院内集会
11:00~  請願行動(班ごとに分かれ、各議員室へ訪問)
14:30~15:00 まとめの集会(同会議室)

署 名 数: 78万4151筆
*ご協力ありがとうございました。請願課より、同一筆跡で書かれたとみられる住所地の違う署名があったという指摘を受けました。請願の信頼にかかわることでもありますので、署名をいただく際にはご注意いただきますようお願い申し上げます。(7/14追記)
紹介議員: 参議院 こちら
衆議院 こちら
結 果: 〈参議院〉 採択(内閣送付)/平成26年6月20日
〈衆議院〉 採択(内閣送付)/平成26年6月20日
関連情報:事務局ニュース NO.140(PDF)
       事務局ニュース【速報】(PDF)

集会でごあいさつをいただいた国会議員
公明党  輿水恵一衆議院議員 
【発言要旨】 今国会で難病関係の2法案が成立したところですが、私たちとしてはここからが勝負です。具体的に、皆さまが地域の中でどうやって安心または希望につながるものになっていくのか。そういった意味では、きょうの請願もしっかり受けとめさせていただき、期待に添いたいと考えさせていただいているところであります。いずれにしましても、公平で安定的な医療費助成の推進と共にやはり難病の原因をしっかり究明していき、さらに新しい治療法の開発も、けっして見失うことなく推進してまいりたいと思っております。また、具体的な地域の福祉の問題、就労支援などがあり、原因の究明や治療法の開発は長い闘いになる可能性もありますが、皆さまと思いを共有しながら、これからも一生懸命取り組んでまいりたいと思います。








公明党 山本博司参議院議員
 【発言要旨】 いま私は財務大臣政務官という立場で、予算や税制などを担当させてさせていただいていますが、昨年12月、伊藤代表をはじめ全国の難病連の方々が財務省を訪れ、難病の実情を聞かせていただきました。そして今回、2140億円という予算が計上され、法整備が推進できる予算になったわけですが、現状としてはまだまだ皆さま方にとりましても課題が残る部分もあるかと思います。そうしたことを今回の請願も含めまして、私たちは国会に超党派で対応させていただきたいと思う次第です。その中でも、難病相談・支援センターの予算も拡充しましたが、国による設立ということも含めまして、相談や就労支援などを通して生活の質を健常者の方と同じようにできることがこれからの課題だと思っている次第です。








日本共産党 高橋 千鶴子衆議院議員
 【発言要旨】 普通であれば法律が通れば請願はいらないねとなるわけですが、そうではないところが今回とても大事なことです。総合的な対策では、療養生活、研究、地域格差などでさまざなま課題が残されていると思います。そしてもう一つの課題は、今回の対象にはたぶん入らないであろう疾患がたくさん残されていること、自己負担が大きくなり、これではつないでいけないという方たちがたくさん残されていること。それから、難病でも障害でもなく、どこでも救えないという方たちが残されていることです。この点については、障害者総合支援法の中でみられないかという趣旨を附帯決議に盛り込んでいただきました。これが線引きではなく、一歩なんだという形で、次に広がるための取り組みをここから皆さんと一緒にがんばりたいと思います。








日本維新の会 上野ひろし衆議院議員
 【発言要旨】 法律はできましたが、法律の中に書きこまれないさまざまなことがございます。例えば、対象疾患をどのように指定するのか。いま指定されている方々が支援の対象から外れないのか。負担増のこと。それから対象となる疾患が300程度という話もありましたが、我々は上限を設けるのではなく指定すべき疾患であればしっかり指定してほしい。就労支援など医療費助成以外の支援。さらには最大の難病対策は治療法の確立であり、完治できる研究を進めること。そういったことを委員会で議論して議事録に残しましたし、附帯決議にも書き込みました。きょうの請願は、そういったことにからんでいる要望であり、今国会でしっかり採択されて、さらに難病対策、慢性疾患対策が充実するように取り組んでいきたいと思います。








日本共産党 小池 晃参議院議員
 【発言要旨】 さまざまな問題がある中でのスタートですから、大きな一歩だけれど第一歩だと思っています。難病の定義に希少性が入ってしまったり、さらに医療費助成は(患者数が人口の)0.1%ということで、重症度による差別も起こりかねないのでしっかり検証していきたいと思いますし、自己負担の問題ではせめて住民税非課税の世帯、あるいは人工呼吸器、鼻マスクなど、生きていくために必要なものは無料を継続すべきではなかったのか。これからさらに進めていくためには、難病の中の戦いに留まらず、日本の医療、社会保障をどのようにつくっていくかという中で、難病の問題も解決が図られるのではないかと思っています。党派を超えてここまで来た皆さんの声を活かす仕事を、国会の中で取り組んでいく決意でございます。








自由民主党 橋本 岳衆議院議員
 【発言要旨】 先ほどからお話がありましたように、先日、国会で成立いたしまして本当に良かったなぁと思っております。これは、きょうここにおいでの各会派の先生方が、先ほど「会派を超えて」というお話がありましたとおり、一致結束して取り組めたからであり感謝申し上げますと共に、きょうお集まりの方々をはじめ、患者・家族とその団体の皆さまから、お力をいただいたことに心から感謝と敬意を申し上げなければならないと思っているところです。しかしながら、法律ができたことは一歩だと思いますが、さまざまな課題を残していることは今お話があったとおりで、私もそのように認識しています。そういう意味では、さらに2歩、3歩と進めていきたいということをこの場でお誓いしたいと思います。引き続き、ご指導、ご鞭撻をお願いします。








日本維新の会 重徳和彦衆議院議員
 【発言要旨】 現在、厚生労働委員会に所属をしておりまして、先般の難病、小児慢性疾患の法案につきましても、しっかりと受け止めさせていただきました。参考人としてお越しいただいた皆さま方にも感謝を申し上げます。これから難病と指定される枠が増えていくということですが、そこは田村大臣と私は本当に真摯な議論をさせていただきました。質疑の中で、私のどうしても疾病で線引きをしなければいけないところがあるのかという質問に対し、田村大臣もめずらしく涙ぐみながら答弁されました。より多くの皆さん方の思いが届きますように、これから疾病の指定という段階に入ってまいります。私といたしましても、皆さん方のご要望をいただきながら、皆さんと共により良い社会を目指してがんばっていきたいと思っております。








民主党 中根康浩衆議院議員
【発言要旨】  今回成立しました新しい法律、多くの面で前進しておりますし、医療費がきちんと確保されること、新しい医療技術、新薬の開発に結び付くのではないかということ、生活支援が充実するのではないかということ、それぞれに期待感は大きいと思います。まさに第一歩を踏み出したわけです。一方で、まだまだ解決しなければならない、不十分な点が残っているのも事実であります。大きな問題はやはり新しい法律において、依然として線引きがなされて格差が生じてしまうのではないか。病名により対応が異なってしまうことに対する不公平感がぬぐい切れていないことでございます。このあたりを中心とした問題については、一層、国会で議論を深めていかなければならない決意を新たにさせていただいているところでございます。








自由民主党 今枝宗一郎衆議院議員
 【発言要旨】 皆さま、たいへんなご病気や障害をお持ちで、また、それを助ける家族の皆さまも、ご苦労いただいていると思います。私も小学生のとき、4年から6年までの3年間、日本でも2例目という病気に罹りました。ずっと入退院を繰り返し、学校にも行けない時代が長く続きました。その後、私も医者をやらせていただきながら国会議員をやらせていただいている状況です。難病の皆さまの気持ちは一番分かる国会議員のつもりで、これからもしっかり努力をしていきたい思いです。橋本岳先生にもたいへんお世話になりながら、自民党としてしっかりがんばっていきたい思いです。一つひとつの案件につきましては、皆さんいろいろとご不満もあるかと思いますが、あくまでも気持は皆さんと共にあることをお約束して、私のあいさつとします。









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請願項目
1. 医療、福祉、年金、介護、就労支援などを含めた総合的な難病対策の実現を急いでください。
2. 高額療養費制度の見直しを行い、患者負担を軽減してください。生涯にわたって治療を必要とする難病や長期慢性疾患の医療費助成施策の充実をはかってください。
3. 難病・慢性疾患の子どもたちの医療費助成制度の拡充、特別支援教育の充実をすすめてください。
特に小児慢性特定疾患治療研究事業対象者の大人への移行期支援の充実をはかってください。
4. 全国どこに住んでいてもわが国の進んだ医療が安心して受けられるように、専門医療の充実を図るとともに、医師、看護師、医療スタッフの不足による医療の地域不平等の解消を急いでください。
5. 都道府県難病相談・支援センターの活動の充実と患者・家族団体の活動を支援し、難病問題についての国民的な理解を促進するための、全国難病相談・支援センターの設置を検討してください。

署名用紙〔A4表〕(PDF)

署名用紙〔A4裏〕(PDF)

                 難病法が成立したことを理由に請願課が受理しない?
 さっそく院に提出してくださった請願のうち、衆議院は請願課で受理されましたが、翌27日の時点で参議院では難病法が成立したことを理由に請願課が受理しないとの連絡が何人かの紹介議員から事務局に入りました。
 参議院での対応をめぐりJPA事務局が、この請願は難病対策だけではなく長期慢性疾患対策も含めた総合的対策を求めており、難病法は大きな一歩だが、さらに今後も対策の総合的拡充を求めるものであること。院の請願課が受理しないという判断は、国民の請願権との関係で問題であることを指摘し、口頭で厳重に抗議するとともに、責任ある立場の人からの回答を求めた結果、参議院橋本請願課長が誤りを認め、この請願は難病法をふまえてさらに総合的な対策を求めるものであることから請願を受理するとの回答を得ました。
                                                (事務局ニュースNO.140から)


 
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