JPA(日本難病・疾病団体協議会)


難病対策の推進を求める国会内集会
要請行動報告


長浜博行厚労副大臣、岡崎トミ子議員、谷博之議員、玉木朝子議員とJPAの伊藤たてお代表ら要請団

日時 2009年11月16日(月) 午前10:00〜午後2:00
場所 衆議院第2議員会館

        

全国患者・家族集会3 日目は、国会内集会とその後の4 つの班に分かれた要請行動を行いました。
政府への要請では長浜厚労副大臣が対応、厚生労働省疾病対策課
との話し合い、国会議員への要請などたいへん充実した活動に大きな手ごたえを感じました。


プログラム
午前9:45
午前10:00




 11:00〜
午後1:00
午後2:00
集合
国会内集会(衆議院第2議員会館第4会議室)
あいさつ(伊藤たてお代表)
要請内容(アピール文について)
患者・家族の願い(患者・家族集会から)
班編成・行動準備
政府・政党・国会議員への要請行動
要請行動の報告(衆議院第2議員会館第4会議室)
終了

 〈報告〉
国会内集会
 10 時の開始時間には参加予定者34 人が全員集合しました。
 伊藤代表の主催者のあいさつを兼ねた冒頭発言では、前日の集会で採択した「09JPA 全国患者・家族集会アピール」を報告、これにもとづく関係者への要請行動を提起しました。
 先の総選挙で衆議院議員になった玉木朝子さん(栃木県難病連会長)から連帯の挨拶を受けた後、前日集会の二つの分科会で深められた要望内容を、はむろおとやさんが、つづいて水谷幸司さんがそれぞれ報告しました。日肝協の西村事務局長からは、肝炎救済活動の現状についての報告があり、今後も活動・協力をすることを確認しました。
 予定の4 つに分かれての班編成が行われ早速要請行動に移りました。

厚労省・長浜博行副大臣への要請
 岡崎トミ子議員(民主党難病対策推進議員連盟会長)、谷博之議員(同事務局長)、玉木朝子議員の同行支援で初めて行われた長浜副大臣との交渉には、伊藤たてお(JPA 代表)さんを責任者に畠澤(同副代表)、若宮(遠位型ミオパチー)、佐野(全腎協)、遠藤(線維筋痛症)さんなど7名が参加しました。

厚労省疾病対策課への要請
 疾病対策課との折衝は厚労省で行われ、
1.追加された特定疾患の遡及をめぐる問題、
2.研究公募をめぐる問題などについての説明、
 を求めました。参加者は以下の通りです。

厚労省/小西課長補佐、中田課長補佐、大谷難病調査・難病医療係長
JPA/はむろ(下垂体)、山元(多発性硬化症)、水谷(心臓病)、山本(和歌山)、望月(千葉)、織田・若宮(遠位型ミオパチー)、他、途中から厚労副大臣面会を終えた人たちも合流しました。
    
1.特定疾患治療研究事業の追加11 疾患の施行をめぐって
 @遡りを少なくとも3月31 日まで延長すること
 A「基準を満たすと認められる日」の記入欄を意見書に加えるなどして医師や患者に周知すること
      
回答…@遡り自体、極めて異例なこと。心配はわかるが、施行前から11 疾患の追加情報は伝えており自治体でも準備はすすめてもらっていた。現時点では12 月31 日を延長する考えはない。今後状況をみて判断したい。認定は1月以後も行われる。
A私たちとしても当初は様式をつくって準備をしていたが、いくつかの自治体から書式に縛りをかけないでほしい、自治体に任せてほしいとの声があった。
           
JPA…「状況をみて」いつ頃判断するのか?
                  
回答…申請はまだこれからなので、適切な時期に状況をみて判断したい。
          
JPA…欄外に書くと言っても個々の医師まで徹底されるか心配だ。遡及期間中だけ意見書様式に記入欄を設けたものを例示するなどした方が徹底はやりやすいと思うが。
            
回答…すでにホームページで記入を促すよう出している自治体もあるので様子を見たい。
          
JPA…具体的には欄外等に、「2009 年10 月1日において認定基準を満たしています。医師氏名」と記載してあればよいのか?
それ以前に満たした日を書くのか?
                 
回答…10 月1日時点で基準を満たしているかどうかがポイントなので、それがわかる表現であればよい。
                
2.難病研究予算について
JPA…難治性疾患克服研究事業の研究奨励分野について、診断基準および治療指針等の作成研究が「1年以内」とされていたが、来年度の公募で「更なる推進に関する研究」が追加されたことでさらに2年間延長できるようになった点は評価したい。予定数が新規をあわせて160 課題程度ということは後退ではないのか。
           
回答…今年度の研究奨励分野が177 疾患160課題であり、その数字を根拠にその程度としたもの。課題数の上限を決めたものではない。
           
JPA…先日の参議院厚労委で、難病研究予算の100 億円が概算要求で75 億円に削られた問題で、鳩山首相が「今年度の研究を後退させるものにはしない」と答弁したが。
         
回答…後退しないよう努力したい。
                 
遠位型ミオパチー…一つの疾患で、難治性疾患治療研究事業以外の研究分野との重複申請はできないと言われたが。
                  
回答…棲み分けを行って調整するので相談してほしい。
            
遠位型ミオパチー…もし克服研究事業以外の研究課題とされた場合、臨床調査分野への繰り上がりの対象からはずれるのではないか?
                        
回答…研究奨励分野の対象でなければならないということではない。
                   
JPA…臨床調査研究分野(130 疾患)への指定疾患の追加については、これまで通り特定疾患対策懇談会(特定懇)で判断されるのか。
              
回答…いままではそうであったが、今後はまだわからない。政務三役の判断になる。
                       
JPA…特定懇で判断するかどうかも含めて、白紙の状態ということ?
                 
回答…みなさんから新たな難病対策をという提案もあり、現時点ではわからない。
                                                     (文責 水谷幸司)

国会議員への要請行動
 訪問した国会議員は、小池晃(共産)、福島みずほ(社民)、自見庄三郎(国民新)、舛添要一(自民)、有村治子(自民)、谷博之(民主)、馳浩(自民)、坂口力(公明)、阿部知子(社民)、高橋千鶴子(共産)の10名です。(敬称略)
 アピールと団体要望・事例集を持参して要望の実現・協力を訴えました。
 要請行動に参加したのは、A 班が野原(前掲)、矢羽々(岩手難連)、佐々木(三重難連)、西川(三重難連)、原(茨城難連)、千葉(茨城難連)、坂口(和歌山難連)さんの7 名。B 班が坂本(前掲)、芋川(全腎協)、西村(日肝協)、沖(日肝協)、鈴木(ALS)、比嘉(線維筋痛症)、川口(線維筋痛症)、山元(多発性硬化症)さんの8 名でした。
 ほとんどは秘書の方が「議員に伝える」として、好意的に応対してくれました。

財務省・大串博志政務官への要請
 谷博之議員の同行支援で大串政務官に面会。
 アピールを中心に説明・要請しました。特に扶養控除、配偶者控除を従来どおり存続するよう強く要望しました。谷議員室で作成していただいた「控除が廃止された場合の医療費負担増」に関する資料を示して要請を行いました。大串政務官は「民主党の考え方は、所得控除というのは高額所得者に有利に働くため、控除でなく、手当というかたちで対象者に給付していくやり方に転換するということである。みなさんの実情もよくわかる、難しい問題だ」と応じました。この行動には、野原正平JPA 副代表が責任者となり、坂本(前掲)、水谷(前掲)、佐野(前掲)、遠藤(前掲)の5 名が参加しました。

◎PDF版報告はこちら
  (患者団体の学習会などにご活用ください)



◎その後の政府税調のうごきをふまえて緊急要請
 後日、政府税制調査会で、子ども手当の創設に伴って10 年度の廃止を検討している所得税の「一般扶養控除」に関連して、11 月19 日、坂本JPA常務理事とともに国会まわりを行いました。
 民主党がマニフェストで打ち出しているこども手当財源のための扶養控除廃止が、23 歳以上の扶養親族のいる家庭にも適用されるとして、社民党の阿部議員より、働けない障害者や患者がいる家庭にも影響が出ると指摘があり、古本政務官が「成人障害者のいる家庭には扶養控除を存続させるよう検討中」と答えたと報道された問題で、阿部知子議員本人と短時間でしたが面会して状況を聞き、一律の扶養控除、配偶者控除の廃止は難病患者を抱える世帯に大きな影響を与えること、増税のうえに特定疾患の所得区分などの負担もあがることを訴えました。
 また、「成人障害者」「難病患者」を特定して存続することについても、現行の枠組みでは身
障手帳、特定疾患受給者証による捕捉になり、とくに難病はほとんどが存続しないことになるので、JPAは、一般扶養控除自体の存続を要望しています。
 阿部議員は全く同感ですと応じ、与党内でも、扶養控除の存続に努力すると約束してくれました。
与党である国民新党の下地議員、森田議員、社民党の福島党首の議員室を訪問、また、峯崎財務省副大臣、原口総務大臣、古本政務官、田島環境副大臣など、政府税調委員の各議員室も訪問して、要望書を手渡してまわりました。    (文責 水谷幸司)

写真集

 国会内集会
  
  あいさつ(伊藤代表)     あいさつ(玉木議員)

 長浜厚生労働副大臣との面談
 
  長浜厚労副大臣との面談

 厚生労働省疾病対策課との話し合い
 
  厚生労働省疾病対策課との話し合い