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 2月18日(火)、JPAは難病のこども支援全国ネットワークと共催で参議院議員会館講堂において「難病法・小慢改正法の早期成立を求める院内集会」を開催しました。この集会は難病法案が国会に提出されてから初めてとなり、平日にもかかわらず約100名の出席がありました。
 また、集会後、両団体を代表して8名が厚生労働省を訪問、田村憲久厚生労働大臣と面会のうえ、集会アピールを提出し、難病法案の早期成立と難病対策、小児慢性疾患対策の充実を要望しました。念願だった大臣との面会も実現するなど、JPAにとっては今後の難病法案が国会で審議されるうえで大きな節目となる一日でした。

 集会は小林信秋難病のこども支援全国支援ネットワーク会長の司会で始まり、冒頭で伊藤たておJPA代表理事が今後の課題などを含めた少し長めのあいさつを述べました。そして、お忙しいなかかけつけてくださった国会議員からあいさつをいただいた後、本題の難病法案(田原健康局疾病対策課長、泉健康局疾病対策課健康対策推進官)及び児童福祉法一部改正案(桑島雇用均等・児童家庭局母子保健課長)の説明と続き、休憩をはさんで質疑応答、アピール案の読み上げと採択、森幸子JPA副代表理事の閉会あいさつという内容で12時30分から16時までみっちり行われました。
 伊藤氏はあいさつの中で、積み残した問題として次の四点を挙げ、みんなと一緒に考えていきたいと述べました。一点目は低所得者の自己負担の問題を指摘し、消費税の増税や年金の引き下げで支出が多くなり収入が少なくなっていく時代に、低所得者の負担がこれでいいのか議論を重ねていかなければならないと述べました。
 二点目は、自治体格差がさらに広がるのではないかという懸念を示し、法律になっても住んでいる自治体によって支援が違ってくるとせっかくの法律も仏を作って魂入れずということになりかねないと述べ、国がどういった指導をするかが大きな課題になっていると述べました。
 三点目は、軽症というかたちで医療費助成から外れる方々についても、社会参加への支援を行うことを難病対策の大きな目玉としてすすめてきたが、それをまとめて療養環境整備事業となった。しかし、これも都道府県が主体になって行うが、国は費用の2分の1を補助することができるという「努力義務規定」であるとして、これによる自治体の格差が広まることを懸念しました。そして、同事業について国が用意した予算を有効に使うだけの施策を自治体がするのかどうかが問題だと指摘し、国が自治体をしっかりと指導し法律の根幹として浸透させていかなければならないと述べました。
 そして4点目に、生活保護の医療にはさまざまな制限があり専門医にかかりにくいことを挙げました。これは人権の問題でもあり、難病患者が生きていくためにひじょうに重要な問題だと思っていると述べました。最後に伊藤氏はこれらの四点を踏まえ、この制度の実現にかんしては地域の難病連の役割が非常に大きいことを強調しました。
 その後の難病法案の説明では、泉推進官から第3条 国・地方公共団体の責務について、具体的ではなく若干抽象的なので義務規定ではなく「努めなければならない」という努力規定になったと説明がありました。そして、第30条・31条の費用では、特定医療費については義務的経費となり都道府県の超過負担は完全に解消することができるとしたものの、療養環境整備事業は裁量的経費という形になったと述べました。さらに、第32条~第33条 難病対策地域協議会についても、地方自治とのかねあいから「努めるものとする」という努力義務になったと述べました。
 一方、児童福祉法の一部を改正する法律案の説明で、桑島課長は第50条・53条の費用について「都道府県が支弁する費用の2分の1を負担する」としてこれまでの裁量的経費から義務的経費になるとし、さらに小児慢性特定疾病児童等の自立支援事業(小児慢性特定疾病児童等自立支援事業)の必須事業についても国庫負担2分の1の義務的経費にすることができたと述べました。そして、個々の状況に応じたきめ細かな支援を実施することで、トランジションへの気持ちを込めたと説明しました。

 厚生労働省からは、井上障害保健福祉部企画課長、下高原健康局疾病対策課長補佐、近藤職業安定局障害者雇用対策課地域就労支援室室長補佐、森岡障害保健福祉部企画課長補佐らも出席。質疑応答では会場から9名の患者・家族から質問が寄せられ、それぞれの担当課から回答していただきました。
 ただ、主催する側としては、冒頭に伊藤氏が問題点を指摘しておき、その後の国会議員あいさつや厚労省の法案説明を経て、質疑応答で問題点にかんする議論等をさらに深めていく狙いもありましたが、なかなか意図したとおりにはいかなかったかもしれません。同時に、より良い難病対策をつくるためには、今後も私たちが地域で勉強会をひらくなどして難病対策にかんする理解や課題等をもっと深めていく必要性を感じました。
 集会であいさつをいただいた国会議員は次の7名です。(出席順)
・中根康浩衆議院議員(民主党衆議院厚生労働委員会委員)
・江田康幸衆議院議員(新しい難病対策の推進を目指す超党派国会議員連盟事務局長、公明党難病対策推進本部本部長)
・古屋範子衆議院議員(公明党厚生労働部会長代理)
・橋本岳衆議院議員(自由民主党難病等に関するPT事務局長)
・上野ひろし衆議院議員(日本維新の会厚生労働委員会理事。)
・川田龍平参議院議員(結いの党参議院厚生労働委員会委員)
・山井和則衆議院議員(民主党衆議院厚生労働部会長)

 集会終了後、数名がグループとなり各党の厚生労働委員等を訪問してアピール文を届けました。
 JPAから伊藤代表理事、森副代表理事、藤原理事、水谷事務局長、難病のこども支援全国ネットワークからは小林会長および同親の会より、胆道閉鎖症の子どもを守る会、がんの子どもを守る会、全国心臓病の子どもを守る会の代表8名は、厚生労働省を訪れ、田村憲久厚生労働大臣と大臣室で面会のうえ、集会アピールを手渡し、難病法案の早期成立と難病対策、小児慢性疾患対策の充実を要望しました。
 面会には衛藤晟一議員(内閣総理大臣補佐官、自民党難病PT座長、超党派難病議連会長)及び江田康幸議員が同席。さらに佐藤敏信健康局長、石井淳子雇用均等・児童家庭局長及び田原克志健康局疾病対策課長等も同席で、少し重々しい雰囲気でしたが、大臣はとても気さくに対応していただき、私たちの話を聞いていただくことができました。
 これまでJPAは厚労大臣への面会を希望していたもののなかなか機会に恵まれませんでしたが、今回は難病法案の閣議決定を契機に実現しました。私たちとしても、これで難病法案の成立に向けて一歩足固めをすることができたのではないかと思います。
                                                                   (藤原)

 
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