「医療基本法の制定に向けた議員連盟」設立総会 報告

名 称 「医療基本法の制定に向けた議員連盟」設立総会
開催日 2019年2月6日(水)
会 場 衆議院第一議員会館 多目的ホール
出席者

国会議員など80名以上

患者団体等の参加団体一覧

報 告

 超党派の国会議員で組織される「医療基本法の制定にむけた議員連盟」設立総会が開催され、JPAから伊藤、原田、大坪の3名が出席しました。各会派からも総勢 80 名を超える国会議員の出席があり、日本医師会からも横倉会長がお見えになりました。
 
 医療基本法は、医師法、医療法、医薬品医療機器法などの個別法を束ね、医療の基本理念や患者と医療提供者の関係を定めるもので、長年に亘り必要性が訴えられてきました。そのような中、2006 年に設置された「ハンセン病患者問題に関する検証会議の提言に基づく再発防止検討会」が 2009 年に発表した報告書をきっかけとして、様々な関係団体にて法制化への議論が再スタートし、今回議連の発足に至りました。
  
 開会にあたり、議連の会長に参院議員の尾辻秀久氏(自民)、事務局長には参院議員の羽生田俊氏(自民)がそれぞれ選任されました。尾辻氏は、冒頭のあいさつで「今回の医療基本法は画期的なものであるので、しっかりと仕上げて参りたい」と意気込みを述べました。
続いて羽生田氏より議連の主旨説明があり、その後、患者会及び医療関係者団体等の代表者8名と日本医師会の横倉会長、平川常任理事が意見を述べました。
  
 羽生田氏は「10 年以上に渡って医療提供者と医療を受ける方々の間で議論が行われてきた中で、時にはぶつかることもあったが、現在は医療基本法を作ろうということで方向が一致している」と述べた上で、ハンセン病問題と旧優生保護法問題を挙げ「そういったことが今後起こらないようにするために、医療基本法を制定して国民目線での医療というものをしっかりと作っていきたい」と説明を行いました。
  
 その後、患者会及び医療関係団体者からの発言に移り、JPAからは伊藤参与が意見を述べました。伊藤参与は、現在病気ごとの個別の法律がたくさんできているが、そこでは必ず新たな落ちこぼしが生まれていることを指摘し、「色々な個別法の上に立つアンブレラ型のような強固な医療基本法を作っていただきたい」と発言しました。また、医療基本法の議論が再スタートするきっかけとなったハンセン病の患者団体の藤崎事務局長は、人間としての尊厳を損なうような行為が患者に対して行われてきた事を挙げ、「こうした間違いを二度と犯さないでほしいという願いで患者運動を進めてきた」と述べ、医療基本法の必要性を改めて強く訴えました。その他の団体からも、医療基本法の必要性を訴える発言がそれぞれの置かれている視点から述べられました。
 
 続いて日本医師会会長の横倉氏がマイクを握り、これまで日本医師会において医療基本法を検討してきた経緯を振り返り、「医療者と患者は対立構造で捉えられがちだが、本来我々が闘うべき相手は病気や怪我である。そこに対して患者が闘い、それをいかに医療者がサポートしていくかという観点からこの医療基本法がしっかりとしたものになればと考えている」と述べました。
そして、平川常任理事より日本医師会の基本的な考え方について説明が行われました。平川氏は「医療基本法は、憲法によって定められている生存権や幸福追求権等と医療法や医師法といった個別法を媒介する親法のような位置付けのイメージで考えている」と説明し、「医療界、患者、国民の総意としてこの制定を目指したいと考えている。権利と義務の対立軸としての議論ではなく、よりよい医療を実現するための医療提供者と患者・国民の協同の運動として、ぜひ実現させていただきたい」と述べました。
 
 閉会の挨拶として、尾辻氏はこれまで多くの議員立法の成立に携わってきた立場から、「まずは法律を作ることが一番大切であり、0 を 1 にするために皆で力を合わせて頑張っていきたい」と述べた上で、昨年 12 月末に成立した成育基本法、脳卒中・循環器対策基本法に触れ、「なぜ成立まで 10 年以上の長い時間がかかってしまったのかということをしっかりと反省材料にしながら、相当の覚悟を持って取り組んで参りたい」と結びました。(大坪恵太)

2019年2月7日