1型糖尿病障害年金支給停止裁判で国は敗訴したにもかかわらず障害年金の支給停止処分及び支給停止を継続することに遺憾の意を表明すると共に原告団への協力を呼びかけます

若年発症の1型糖尿病患者9人が、症状の改善が見られないのに障害年金の支給を打ち切られたのは違法として、国に対し年金の支給再会を求めた訴訟で、大阪地方裁判所は2019年4月11日、国の処分を違法として取り消す判決を言い渡しました。

訴えていたのは27歳から50歳の男女9人で、いずれも未成年時に1型糖尿病を発症したことから障害年金2級と認定され、それぞれ年間約77万から100万円を受給していました。しかし、国は2016年までに、9人が障害等級3級に下がったとして支給を停止していました。

判決では、原告は年金支給を前提に生活設計をしており、支給停止は重大な不利益だとしたうえで、支給の停止基準が「非常に抽象的」であり、厚生労働省の簡潔な通知では停止の理由を理解するのは困難だと指摘。不利益処分には理由を示さなければならないと定めた行政手続法に違反しているというものでした。

判決に対して厚労労働省は「厳しい判決。通知についてわかりやすくできるように検討する」というコメントを出し、その後、国は控訴しなかったことから判決が確定しました。

ところが4月25日、厚生労働省は原告らに対し、再度、詳しい理由を示して障害年金の支給停止処分及び支給停止を解除しない処分を5月中旬までに行う方針であることを弁護団に通告してきました。原告や弁護団が安堵と喜びに湧いたのもつかの間、一転して奈落に突き落とされました。

弁護団はただちに「問題を単に理由を書くか、書かないかという手続き違反に矮小化し、本裁判中にはまったく明らかにすることのできなかった理由を後付けすることで、再度、支給打ち切り、あるいは支給再会を認めない処分をしょうとしている」として抗議を表明すると共に、この方針を撤回し、速やかに原告らに対し障害年金の支給を再開するように求めています。また、ネットによる署名の協力を呼びかけやFAXでの抗議を呼びかけています。

JPAとしても、こうした厚生労働省の対応は難病者への理不尽を極めるものとして遺憾の意を表明すると共に、1型糖尿病患者をはじめだれもが安心して生きていける社会の構築を強く願っています。

2019年4月30日           
一般社団法人 日本難病・疾病団体協議会
代表理事 森 幸子 


原告団の抗議文

抗議FAXのひな型
ネット署名のサイトはこちら

2019年4月30日