2017年12月末で経過措置(難病法)が終了したことにより、特定疾患から指定難病に移行した対象者の多くが医療費の助成を受けられなくなりましたが、2018年10月18日開催の第18回難病対策委員会で詳細な資料となる「経過措置終了後の特定医療費の支給認定の状況」が公開されました。
これによりますと2017年12月末時点での経過措置適用者は約71.7万人になり、そのうち引き続き認定されたのは約57.0万人(79.6%) でした。おおよそ2割の患者が医療費助成の対象から外れたことになります。
内訳は、重症度分類を満たすとした認定が約44.0万人(61.3%) 、軽症高額該当での認定が約13.1万人(18.2%)、 不認定が約 8.6万人(11.9%) 、保留中が 約 0.0万人(0.0%) 、申請なし・不明が約 6.1万人(8.5%)となっています。
都道府県別の資料では認定の全国平均が79.6%です。そのうち、もっとも高かったのが宮城県の86%、次いで東京都の85.6%。逆にもっとも低かったのが高知県の69.2%、次いで岐阜県の72.6%となり、都道府県による認定率にある程度のばらつきがみられます。
さらに内訳をみると、重症度分類を満たすとした認定の全国平均は61.3%ですが、もっとも高かった秋田県は78.3%で、もっとも低かった愛知県の27.3%と比べると大きな差があります。ただし、重症度分類での認定が低かった県は軽症高額の認定が高いので、全体の認定率では大きなばらつきにはなっていません。これは、都道府県でのデータ収集法を統一していなかったことによるものと思われます。
疾患別でみると認定率の平均は87.3%です。高いのは亜急性硬化性全脳炎の96.8%、副腎白質ジストロフィーの96.6%、家族性高コレステロール血症(ホモ接合体)の94.4%など90%を超えますが、逆に低い疾患は天疱瘡の49.1%、ビュルガー病の50.9%、サルコイドーシスの54.7%など50%前後に留まります。
また、重症多形滲出性紅斑(急性期)は20.5%が申請なし・不明となっており、同様に16疾患あまりで申請なし・不明が10%代に達します。
委員会では担当官の説明を踏まえ森幸子委員(JPA代表理事)は「医学が進歩したとはいえ、経過措置前後で医療費助成を受けることが出来なくなった患者が2割近くにも及ぶことに驚いている。軽症者と判断され不認定となった人の中にはその後、入院されているため再申請に行けず困っている。といった相談も寄せられており、また申請されていない方についても、「臨床調査個人票の記載を医師に依頼したが、軽症となるから申請してもメリットがないと言われた。とかお願いしても書いていただけなかった。提出書類が複雑でわからず、申請をあきらめた。」などという相談や患者会でのアンケート調査もある。経過措置前後の比較については、都道府県や疾病によっても条件が違うため単純にパーセンテージの数値だけでは比較が出来ないということは理解できるが、都道府県、疾病別共にこれらの結果については、今後の見直しに向けても検討の必要がある。」(JPA事務局ニュースNO.236号)と述べ、課題の整理と見直しに向けた検討を提起しました。
2018年11月9日