障害年金制度の改善を求める要望書を提出しました

 一般社団法人日本難病・疾病団体協議会(代表理事:大黒宏司)は、2025年7月8日、福岡資麿厚生労働大臣宛に、障害年金制度の改善を求める要望書を提出いたしました。
 内容は下記のとおりです。

障害年金の改善を求める要望書

 日ごろから難病・慢性疾患患者・障害者の福祉増進のためにご尽力いただいていることに感謝申し上げます。

 この間、内部障害者に対する障害年金の認定が厳しい現状であることは、日本年金機構が公表している「障害年金業務統計」においても明らかです。
疾患ゆえに充分に働くことができない患者であっても障害年金の受給はとてもハードルが高く、受給できても現在の年金額では生活が送れないという現状から、少しでも早く制度を改善してほしいという切実な患者の声に耳をかたむけ、一刻も早く制度が改善されることを、私たちは願っています。

 先の通常国会におきまして、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律」が成立いたしました。
今回の法改正において、障害年金についてはまったく改善がなされなかったことに、たいへん残念な思いでいます。
そんな中でも、国会での審議を経て「附帯決議」(衆議院)では、「障害年金制度については、医学モデルのみならず社会モデルも踏まえて、機能障害のみならず、日常生活の状況等を把握した上で障害等級の認定を行うこと」や「多様な障害種別に配慮し、当事者や関係者の実情を踏まえ、障害年金制度の見直しを進める」といったことが盛り込まれたのは大変重要であり、国は、この決議を重く受け止めて、障害年金の諸課題を早急に改善することが求められています。

また、新聞各紙が、日本年金機構障害年金センターにおける障害認定において、職員による意図的な判定が行われたのではないかということが報じられて、厚生労働省が調査をして6月11日に「令和6年度の障害年金の認定状況についての調査報告書」が出されました。
しかし、この内部での調査だけでは報道された疑念に充分に応えたとは言えず、示された今後の対応策では不十分です。当事者が納得いくように、さらに事態を明らかにして、適正な判定が行えるシステムと認定基準へ改善することを望んでいます。

そうした状況を踏まえて、以下のことを要望いたします。

要望事項

(1)今回の「調査報告書」について、以下の点について説明してください。

  1. 難病などの「その他の疾患による障害」においては、精神障害と同様に不適切な認定が確認されたのでしょうか。
    「その他の疾患」についても、すべての不支給事案について点検を行うということでしょうか。
  2. 職員による事前確認票による等級案の提示の「必要性は高くない」と結論づけているにも関わらず、等級案の廃止を精神障害に限定する理由を教えてください。
  3. この間の報道や国会での審議で、認定医が1件の審査に関わることができる時間が非常に短いということが明らかになりました。
    認定医の人数が圧倒的に足りていないことが要因だと考えられますが、報告書にはそのような総括がありません。貴省の考えを教えてください。
    また、障害種別ごとの認定医の人数を教えてください。
  4. 認定審査委員会に福祉職等の外部からの参画をするとされていますが、具体的にどのような職種を想定しているのか教えてください。
    また、最近の委員会での審査件数を教えてください。
  5. 内部障害をはじめ、難病や慢性疾患にともなう障害の障害認定においては「総合的な」判断が重要です。
    しかし実際には、医学的な所見と一般状態区分表による事務的な処分が行われていることがうかがえます。
    今回の報告の中にはそのような視点での総括はありませんでしたが、貴省としての考えを教えてください。

(2)今回の「調査報告書」について、以下の点について説明してください。

(3)当面、現行の障害認定基準と認定システムについて、以下の改善を行ってください。

  1. 「一般状態区分表」については、日々状態に変化のある内部障害や難病患者の障害の状態を推し量るには不適切ですので、抜本的に見直してください。
    また、家事ができたり、近所に時々買い物をしたり、通院、施設への通所をしていることが2級に認定されない障害状態の判定も抜本的に見直してください。
  2. 難病や慢性疾患を起因とする障害者は、検査数値では軽度であっても就労が困難であるなど、医学的な所見だけでは障害の程度が正しく判断できないことが多々あります。
    診断書だけで判定をするのではなく、日常生活や就労状況についての実地調査を行うなど、認定システムを改善してください。
  3. 診断書を作成する医師が障害年金制度について充分理解できるよう、専門医の学会などを通じて、制度の仕組みについての周知を行ってください。
  4. 認定医が不支給や降級と判定した場合には、決定前に診断書作成医に意見を聞くようにしてください。

(4)就労に困難を抱えている全ての患者が無年金になることがないように、障害基礎年金にも3級を設けてください。

(5)物価高騰が続いている中で、今の障害基礎年金の金額では安心した生活は到底送れません。
年金額を大幅に引き上げるとともに、マクロ経済スライドは廃止してください。

書簡のPDF版を、当ウェブサイト内の要望書・見解、談話等の発表ページに掲載しております。

以上