2025年12月8日(月)10時30分より「高額療養費制度の在り方を考える専門委員会」が、厚生労働省専用第21会議室にて開催されました。
JPAからは大黒宏司代表理事が委員として出席した他、患者団体からの委員として、全国がん患者団体連合会(全がん連)の天野慎介理事長も同じく委員として出席しました。
当日の資料は、厚生労働省のウェブサイトからご覧いただけます。
議事次第:高額療養費制度について
今回も直近の医療保険部会での議論の報告の後、これまで6回の委員会での議論を踏まえた「高額療養費制度の見直しの基本的な考え方(案)」(第7回高額療養費制度の在り方に関する専門委員会資料2/PDFファイル)が示され、大黒委員、天野委員からもそれぞれ意見を述べました。
【大黒委員】
今回の基本的な考え方の中で、長期療養者や低所得者層への配慮が盛り込まれたことは評価したい。
そのうえで、現状でも低所得者の自己負担が非常に大きいことは、これまでの委員会資料でも示されてきており、そのような方の経済的負担に特に配慮すべきと思う。
菊池委員からの資料にもある通り、限度額引き下げも含め考慮いただきたい。
また、所得区分についても、大まかなくくりになっているので、区分を細分化するとともに、限度額が急増しないようにお願いしたい。
外来特例について、高齢患者の外来利用は生活維持の側面も非常に大きく、性急な変更は生活の破綻につながる可能性があるため、見直しは段階的かつ丁寧にお願いしたい。
また、仮に限度額を上げる場合も、長期療養者に配慮し、多数回該当の限度額維持や新たに患者負担に年間上限を設けるなど、ぜひ実現してほしい。
年間上限の対象者として、「例えば、年に1回以上、現在の限度額に該当した方とすることなどが考えられる。」とあるが、現在でも限度額に到達せず、多数回該当に至らない方の負担が大きくなっており、このような条件を設けると同じようなことになるので、対象者は絞らないでほしい。
さらに、「患者本人からの申出を前提とした運用で開始する」とあるが、申出が難しい難病患者も多くいる。
医療機関や保険者のシステムの準備期間を考慮して、段階的に始めることは理解するが、原則自動適用することとして、申請漏れにより患者が不利益を被ることは避けてほしい。
最後に「高額療養費制度における特定疾病に係る特例の在り方についても検討が必要」との指摘があったとあるが、確かにそのような意見はあったが、議論にはなっていない状況でこのような記載があると、患者はどのような内容なのかも理解できないので、大変困惑している。
実際の議論の経過やどのような内容かがはっきりしたうえで記載されるべきと思うので、ここは配慮いただきたい。
【天野委員】
基本的な考え方について、私からは5点意見を申し述べたい。
1点目、4ページの8行目に「長期にわたって継続して医療費負担が嵩む長期療養者の方に配慮し、多数回該当の限度額については現行水準を維持するべき」、「多数回該当から外れてしまう方が発生するため、そのような方の医療費負担が過重なものとならないよう、新たに患者負担に「年間上限」を設ける」との記載があるが、この2点については、ぜひ入れていただきたい。
特に多数回該当に該当するか否かによって、長期療養をせざるを得ない患者さんの負担額は全く異なってくるので、特に年間上限については、多数回該当の年間の金額を一つの基準と考えたうえで、新たに年間上限を設定していただきたい。
なお、14行目から「『年間上限』の対象とするのは、例えば、年に1回以上、現在の限度額に該当した方とすることなどが考えられる」との記載があるが、この条件は外していただきたい。
理由としては、そもそも年間上限を設ける趣旨は、限度額に達しないが、高額な治療費を長期にわたって支払わざるを得ない患者さんを救済することを目的としているので、限度額に該当することを条件とすると、そのような患者さんの救済に寄与しなくなってしまう可能性がある。
2点目、同じく4ページの20行目、これまでの委員会資料の中でも、世界保健機関(WHO)が定義する「破滅的医療支出」に該当する患者さんがいることが明らかになっており、また、私から提出した資料にでも、がんの患者さんにおいては、区分エ、区分オの方を中心に、既に「破滅的医療支出」に該当する可能性がある方が2~4割程度いる可能性があることを指摘した。
その観点から、特に区分エや区分オに該当する所得が低い方を中心に限度額を引き上げることは、相当程度抑制的であることが必要と考える。
3点目、外来特例については、例えばがん治療においても、現役世代が高い負担を強いられる一方、高齢の方が外来特例により比較的低い負担で受けられている現状は、公平性の観点から問題ではないかとの指摘がある。
一方、高齢の方が外来特例により低い負担に抑えられているのは、受診頻度が増えることや年金生活など収入が限られている方がいるという趣旨も踏まえると、現在議論されている社会保障に関わる高齢者の方の負担増に関わる議論とあわさり、過重な負担となる可能性もあるため、慎重な議論が必要。
4点目、5ページで「高額療養費制度における特定疾病に係る特例の在り方についても検討が必要」との記載があるが、複数の委員から意見が出ているわけではなく、この委員会でも議論にはなっていない。加えて、特定疾病に係る疾患の患者さんの意見も全く聞いていない状況で、特定疾病に係る特例の在り方について、論点であるかのように提示することについては反対する。
5点目、資料には出ていないが、退職や転職に伴って所属健康保険組合が変更となり、多数回該当がリセットされる問題について、複数の委員からも何らかの対応が必要であるとの意見が出ていた。
すぐの実施は難しい可能性はあるが、将来的に導入することを前提とし、検討課題として加えていただきたい。
報告は以上です。
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