【報告】第8回「高額療養費制度の在り方を考える専門委員会」が開催されました

 2025年12月15日(月)10時30分より「高額療養費制度の在り方を考える専門委員会」が、厚生労働省専用第21会議室にて開催されました。

 JPAからは大黒宏司代表理事が委員として出席した他、患者団体からの委員として、全国がん患者団体連合会(全がん連)の天野慎介理事長も同じく委員として出席しました。

 当日の資料は、厚生労働省のウェブサイトからご覧いただけます。

議事次第:高額療養費制度について

 今回は、前回第7回専門委員会で示された高額療養費制度の見直しの基本的な考え方(案)について、委員から出された意見をもとに修正が加えられた(案)が提示されました。
前回示された案では、年間上限の対象者に制限を設ける旨の記載がありましたが、その記載が削除された他、加入する保険者が変更となり多数回該当のカウントがリセットされる問題について、今後実現に向けて検討することが新たに盛り込まれました。また、委員会で具体的な議論をしていないにも関わらず、突如盛り込まれた「特定疾病に係る特例の在り方の見直し」についても、記載が削除されました。
この他、前回委員から要望のあった外来特例の利用状況についても説明が行われ、その後、大黒委員、天野委員からそれぞれ意見を述べました。

【大黒委員】
 今回の案に長期療養者や低所得者層への配慮が盛り込まれたことは評価したい。
特に長期療養者への配慮で、多数回該当の限度額の現行水準の維持、新たに患者負担に年間上限を設けることについては、ぜひ実現していただきたいと思う。
現時点では具体的な金額が出ていないのでまだ何とも言えないが、外来特例を含め、急激な変化が生じないようにお願いしたい。
 また、今回、外来特例の説明があったが、歯科や眼科、糖尿病、高血圧など、高齢患者の外来利用は、生活維持の側面が大きいと改めて感じる。
そのため、性急な変更は、生活破綻のリスクにつながる可能性があるので、繰り返しになるが、見直しにあたっては段階的かつ丁寧にお願いしたい。
 今後も、医療費の自己負担の在り方をめぐる議論は続いていくと思うが、多くの場合、増大する医療費への対応が出発点となっており、医療の高度化や高額医薬品の開発が一律に問題であるとの議論が広がることを懸念している。
制度の持続可能性の議論についても、高度な医療を取り入れつつ、セーフティーネットの機能を確保し、命を守る仕組みを持続可能にする視点を大切にしてほしい。
また、医療の進歩への適用を促す方向でも検討いただき、重要な場面では患者団体を交えて議論いただくようお願いしたい。

【天野委員】
 資料を基に、5点意見を申し上げたい。
 1点目、資料1のページ4の年間上限について、この部分を入れていただいたことに改めて感謝したい。
また、年間上限の対象者を限定する記載を削除いただいたことで、本来の趣旨に合った方を対象にできるようになるかと思う。
この年間上限の趣旨を踏まえると、多数回該当の金額を一つの基準として設定いただきたいと考えているので、重ねてお願い申し上げたい。
 2点目、資料1の5ページ13行目、前回修正をお願いした部分について、「加入する保険者が変わる際に、多数回該当のカウントがリセットされる仕組みとなっているところ、実務的な課題もあるものの、カウントが引き継がれる仕組みの実現に向けた検討を進めていくべき」と入れていただいた点は、多くの患者さんからの要望ですので、ぜひ実務的な課題を克服して、今後取り入れていただきたいと重ねてお願いしておきたい。
 3点目、資料1の3ページで外来特例の見直しは避けられない方向性と記載されており、現役世代と比べると公平性の観点から課題があることは承知しているが、一方で、高齢者の方は年金を中心に収入を得ている方々も多く、そもそも加齢に伴い、頻回受診となる患者さんが多くいることも踏まえ、特に社会保障制度改革の他の負担増と合わさっての過重な負担増とならないよう、ぜひ慎重に検討いただきたい。
 4点目、資料1の4ページ23行目以降で特に所得が低い方の区分について、配慮が必要との指摘いただいている。
厚生労働省の資料からも、世界保健機関(WHO)が指摘している破滅的医療支出に既に該当する患者さんが一定数いることや、前々回私から提出した資料でも、区分エ・オを中心に、がんの患者さんでは、2~4割程度の方々が破滅的医療支出に該当する可能性があると指摘されているので、仮に限度額が引き上げとなる場合は、特に所得が低い方を中心に相当程度抑制的な引き上げをお願いしたい。
資料2の中でも、月額の限度額について、住民税非課税の方は近年の年金改定率を考慮し配慮するとの記載があり、住民税非課税ラインを若干上回る層である年収200万円未満の方は、多数回該当の金額を引き下げるとして、既に配慮いただけることになっているかと思うが、仮に限度額が引き上げとなる場合は、相当程度抑制的にしていただきたいと重ねて申し上げたい。
 最後に5点目、今回を踏まえ取りまとめになるかと思うが、まず、今年(2025年)5月から8回にわたり専門委員会を開催いただき、今まさに高額療養費制度を利用しているがんや難病の患者さんの声に耳を傾けて、制度の検討をしていただいたことに改めて感謝申し上げたい。
高額療養費制度を利用している患者さんが第一の当事者となるが、これからがんや難病などを罹患されて利用する患者さん、さらに進んで、我々の子どもや孫の世代ががんや難病などに罹患して利用する場合に、非常に貴重なこの制度を継承していくため、限度額の見直しを含めた、一定の見直しが必要ということは十分に理解している。
他方、この委員会でも現在の厳しい経済状況を考えた場合に、むしろ引き下げるべきではないかとの意見も複数出ていたと承知している。
また、昨年(2024年)、社会保障審議会医療保険部会で議論いただいた際、部会に示された資料と実際の引き上げ額にかなりの乖離があり、問題となった経緯もある。
今後、予算編成の中で具体的な金額が決まっていくことになると思うが、制度を利用している患者・家族へ十分に配慮いただき、仮に限度額が引き上げとなる場合でも、相当程度抑制的な金額の引き上げをお願いしたいと重ねて申し上げたい。

 報告は以上です。

 なお、「高額療養費制度の見直しの基本的な考え方」が、厚生労働省ウェブサイトに2025年12月16日に公表されました。

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